永田カビさんの新作が発売されました!
前作『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』と同じ形式。本人のエッセイ文を絵に描いてマンガにした、読みやすい本です!
『一人交換日記』は作者の永田カビさんが自分自身と交換日記をすることによって進んでいきます。
こんなことがあったんだー。でさぁこう思ったんだー。あなたは前にこう言ってたけど、こんな感じだったよー。と、交換日記に絵を付けたような感覚。

とてもテンポがよくて読みやすいんですが、中身は相変わらずのヘビーさ。だがそれが良い。中には家族との赤裸々どころじゃないイベントも満載です。
・・・正直これ書いて大丈夫なの?と心配になるほどなんですが。
ご家族さんこの本読んでないですよね!?それとも許可とってるんですかね!?もし内緒にしててバレたら勘当されそうです!ひぃ!
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『一人交換日記』の第一発見「分かる」はコチラ
無理して我慢したことのしわよせって無理して我慢した本人の所に請求が来るうえ、しわよせ+利息みたいなものがついた分を支払うことになりませんか。
「我慢できる限界を超えてがんばった分、反動がくる。その反動はなぜか我慢した分より多い!」ということですね。
利息ってのがなんとも分かりやすい。

そしてこれは自分のことに置き換えてみても納得いく。
僕の経験で言わせてもらうと、「誰かと一緒にいる時間が長くなりすぎると、一人の時間が恋しくなってより多くの時間を閉じこもってしまう。」という感じです。
誰かと一緒にいるのは楽しくて好きなんだけど、どこかで何かのパワーを消費している気がするんだ。
充電にやたら時間がかかると自分では思ってたけど、しわよせ+利息を請求されているという表現はなかなか的確な例えだなぁ。
今作もこういったおもしろい表現がたくさんあります。読んでて「分かる!」と何度思ったことか!
永田カビさんの独白「一人の方がさびしくない。実家は孤独。」
作者の永田カビさんはなが~いこと孤独を感じてきたそうです。
そのことに気付いたのは、常に寒さを感じてどうにもならなかったのが、人との距離感を埋めることによって緩和したことからだとか(in銭湯)
人肌に触れようと、ふたたびレズ風俗を利用したほど、孤独にむしばまれていました。さびしさが極まって体温が下がるほどの孤独感・・・実家に住んでいて、家族に囲まれているのにナゼ?
それは作中で、読者のコメントに言及するかたちで出てきてます。
「孤独とは物理的に一人で居ることじゃなく、周りの人に自分の能力や人格を認められないことだと思います。」
そのときはそうか~と思っただけだったけど、一人の方がさびしくない。実家は孤独。
読んでいて、ご家族さんは娘(永田カビさん)に愛情を持っていないのだろうかと心配になりました。ううん、持ってるにせよ、本人に伝わっていないのでは同じことだ。
10年間うつ病とデスマッチしている娘の前で父が「俺もううつ病になってしまうわ~。」とため息まじりに発言するなぞもってのほか。
でも、自分自身も家族に対して暴言を投げてきたので、言いたいことを言えないそうな。永田カビさんの気持ちは分かる。
うつ病にしろ、引きこもりにしろ、周りの人に認められて愛情を持って接してもらえないと、そこから変わるなんてできません。ムリです。回復アイテムなしに毒沼を突っ走るようなもんです。
親に求められるのは、【愛情を伝えること・能力や人格を認めること・対等の存在として接すること】なんだと思います。
まぁ・・・それができてないから実家が孤独だと思われるんでしょうが・・・。

わかるんかい
『一人交換日記』で永田カビさんは抱えている問題を解消できるのか
前作から母への特別な感情は書かれていました。母娘の共依存のせいで、私は幸せにはなれないと母のせいにしていた。
でも母自身も周りに流された被害者だった・・・と思うようになったのだそうです。そんな母を家に置いて、自分の幸福のためにひとり暮らしを始めるのが本作のストーリー。
メインにして核心部分だから、ここはあまりネタバレはしないけど。でも、とりあえず変化はあります。ゆるやかな、それでいて大きな変化が。
とにかく、永田カビさんの抱える問題は「家庭」「愛情」「依存先」だったのかな。これらのことに対して、なにか感じるものがある人は読んでみると良いですよ。
読んでる途中で、「ああウチはこうだったな~」とか「自分もこういうこと思ってるわ・・・」とか、色々出てくるでしょうね!
抱える問題ってのは考え出すと際限なく溢れてくるものですが、分かろうとするのは大事。なんかよく分からない問題を抱えている気がする人に読んでほしい本です!
あとおもしろいからフツーに続き読みたい。
あ、ちなみに前作からのまるまる続きなので、まだの人は先にレズ風俗レポを読むことをおすすめします!